
注文住宅などの家づくりでは、多くの方が住宅ローンを利用します。
中でも「固定金利」か「変動金利」かの選択は、返済総額だけでなく家計の安定度にも影響する大きな決断です。
固定は将来の金利上昇リスクを回避でき、変動は市場金利が下がれば支払いも減る可能性がある――この基本をまず押さえておきましょう。
目次
金利タイプの仕組みと要点
固定金利は契約時の金利が返済終了まで変わらず、毎月の返済額が一定です。
見通しを立てやすい反面、初期金利は変動より高めになりがち。
変動金利は市場金利に応じて見直され、低金利局面では負担が小さくなりますが、上昇局面では返済額が増える不確実性を抱えます。
要するに、固定は「保険・安定志向」、変動は「機動性・コスト志向」と覚えると整理しやすいです。
私が固定金利を選んだ理由
私が注文住宅を建てた際は、毎月の返済額が変わらない安心感を最重視して固定金利にしました。
家計の計画が立てやすく、教育費や予備費の積立もしやすいからです。
実際、金利上昇を心配して固定を選ぶ方は少なくありません。
一方で、変動金利の「金利が下がれば支払いが減る」魅力も確かにあります。
結局は、ライフスタイルとリスク許容度の問題です。
注文住宅ならではの注意点
注文住宅は打合せ・設計・建築で期間が長く、総額が上振れしやすい特性があります。
- オプション追加で借入額が増える
- つなぎ融資やローン実行時期のズレで金利条件が変わり得る
このため、金利タイプの比較だけでなく、「借入額が増えても無理なく返せるか」まで含めた耐性評価が必要です。
判断のためのフレームワーク
- 家計の安定性
収入の変動幅・共働きの有無・緊急時の予備資金。 - 金利観と期間
短期〜中期で繰上げ返済する計画があるなら変動が活きるケースも。
長期でブレなく返したいなら固定が有力。 - 心理的安心感
数字上の得より、毎月額の固定性に価値を置くか。 - 出口戦略
繰上げ返済・借換え・一部固定/一部変動(ミックス)など、後から調整できる余地を確保。
変動金利を選ぶなら守りを固める
「今は低いから得だろう」と期待先行で選ぶのは禁物。
- ストレステスト
金利が+1%、+2%となった場合の毎月返済と家計収支を試算。 - 繰上げ返済の前提
ボーナスや余剰資金で元本を機動的に圧縮する運用を習慣化。 - 生活防衛費
半年〜1年分の生活費を現金で確保し、金利上昇局面に備える。
固定金利を選ぶなら費用対効果を検討
固定は「シートベルト」のようなもの。
安全だがコストはかかります。
- 初期金利差が将来の安心に見合うか
- 団信の特約や繰上げ返済手数料、借換え時の諸費用まで含めた総コストで判断
- 教育・老後資金形成と同時進行でも家計が破綻しないラインを死守
迷ったら専門家と「数」で決める
金利の先行きは誰にも読めません。
だからこそ、FPや金融機関担当者に複数パターンのシミュレーションを出してもらい、「数字で比較」して選ぶのが近道です。
体感や希望ではなく、最悪ケースでも回り切るプランを基準にしましょう。
まとめ(やってはいけない思考法も)
- 固定=安定、変動=機動性。
自分の家計と性格にフィットする方を。 - 注文住宅は金額が大きくブレやすい。
余裕枠と出口戦略を必ず用意。 - 「変動は自分に都合よく動くはず」という期待は禁物。
数字で耐性確認を。
家づくりは夢のプロジェクトですが、融資選びはその夢を支える「土台」です。
長期の視点で冷静に比較し、家計を守る最適解を選んでください。