
新築で注文住宅を検討されている方は、何らかの融資やローンでの支払いを計画されるはずです。
日本における金利の歴史的背景
日本ではバブル崩壊後、長く続いた不景気対策として ゼロ金利政策(1999年〜2023年) が導入されました。
特に2016年から2023年にかけては、世界でも珍しい マイナス金利政策 が実施され、銀行にお金を預けると利息ではなく手数料がかかる状況にまで至りました。
この結果、住宅ローン利用者にとっては融資を受けやすい環境となり、0.1〜数%という極めて低い金利で借入が可能な時代が続いたのです。
そのため、この時期に注文住宅を建てた方は「固定金利で安心を取るか」「変動金利で低金利を最大限活用するか」という二択を迫られていました。
注文住宅の融資ローンには、金利が一定期間変わらない固定金利と、銀行の金利に応じて一定の変化かわある変動金利があります。
固定金利と変動金利の違い
固定金利と変動金利の違いは、利息の割合の違いです。
固定金利とは、名前の通り借り入れた融資やローンに一律の金利がかかり、契約通りの支払金額で返済をする仕組みです。
日本国内では、バブル崩壊から2023年末までは注文住宅の融資やローンで固定金利を選ばれる方が多かったとされています。
一方、変動金利とは銀行の発表する金利の変化に合わせローンや融資の利息を変える仕組みです。
こちらは、不景気で金利が下がる際には変動金利が良いのですが、バブルのような好景気で金利が右肩上がりになると、注文住宅の融資やローンの返済で思いもよらない金額を目の当たりにする方にもなります。
固定金利を選ぶか、変動金利を選ぶかは銀行の発表する金利に影響を受けます。
金利上昇局面での影響
2024年3月、日銀は歴史的な円安と物価高騰への対応として金利引き上げを発表しました。
これにより、長らく続いた低金利環境が転換点を迎えています。
例えば、2000万円を年利0.1%の固定金利で借りた人は、月々の返済額も総返済額も変わらず、年間20万円程度の利息負担で済みます。
一方で、変動金利を選んだ人は、マイナス金利時代と異なり、金利上昇によって年間十数万円から数十万円の追加負担が発生するリスクに直面しています。
まさに、金利選択の違いが将来の家計に大きな差を生み出す状況です。
これから注文住宅を建てる人への選択肢
では、これから注文住宅を建てる場合、どちらを選ぶのが良いのでしょうか。
変動金利が有利なケース:
金融政策によって再び金利が下がる可能性がある、あるいは短期的に返済する計画がある場合。
低金利を活かしつつ、繰上げ返済などで早めに返済を進めれば、大きく得をする可能性があります。
好景気になり金利が増えるなら、現在の利息のまま返済額とできる固定金利の融資やローンで注文住宅の建設費を返済するとお得といえます。
一方、何らかの政策で金利が下がる場合、変動金利で融資やローンを組むことをおすすめします。
変動金利と固定金利については、注文住宅の購入だけではなく、資産運用の知識として備えておきたいものでもありますよね。
固定金利が有利なケース:
景気が回復し、金利が今後上昇すると予想される場合。
現在の低金利で契約すれば、その後の返済額が増えずに済み、長期的な安心感を得られます。
まとめ
注文住宅のローンは、固定金利と変動金利のどちらを選ぶかで今後の家計に大きな影響を与えます。
- 固定金利:返済額が一定で安心感があるが、初期の金利負担は重い。
- 変動金利:低金利時代には有利だが、金利上昇のリスクがある。
- 日本の金利政策の変化(ゼロ金利・マイナス金利、そして2024年以降の利上げ)を理解して選ぶことが重要。
- 繰上げ返済や専門家への相談を組み合わせることで、リスクを分散できる。
結論として、「どちらが正解か」は一人ひとりの状況や将来の見通しによって異なります。
ただし、固定金利と変動金利の仕組みや歴史的背景を理解しておくことは、注文住宅を建てる際だけでなく、資産運用やライフプランニングにおいても大いに役立つ知識となるでしょう。